
2022年01月16日
ものづくり補助金8次公募で追加された加点項目「パートナーシップ構築宣言」とは何か?
まちの経営企画の室長・中小企業診断士の伊藤です。
今回は補助金にまつわる税金のお話です。
これから補助金申請(特にものづくり補助金や事業再構築補助金)をお考えの事業者様、補助金は申請済みで採択待ちの事業様(事前着手をされている方は除く)、何よりも補助金申請を支援されている専門家の皆様には、ぜひご拝読いただきたいと思います。
コロナ禍で中小企業の経営者にとって欠かせない存在になっている補助金。融資と異なり、返済の義務がないのがありがたい制度。
ですが、意外に盲点になっているのが「税金」です。この手の話は、補助金支援先のコンサルタントの方も、教えてくれる人が少ないのではないでしょうか。
補助金の支援先として、税理士さんを選んでいるならば話は別ですが、多くの経営者が金融機関や商工会議所、中小企業診断士にお願いしていると思います。
※かく言う私も中小企業診断士。お客様から質問されるまで盲点になっていました。
そこで、補助金の申請について回る2つの税金「法人税」と「固定資産税」について解説させていただきます。
【注意】
税務にまつわる詳しい話は、ぜひ顧問先の税理士さんにお問い合わせください。本記事では、あくまで事業者様に「気づき」を与えることを目的として、「さわり」程度の話に留めさせていただきます。
目次
補助金は、会計上「雑収入」として扱われます。雑収入とは、本業以外で会社に入った収入のことです。
雑収入は、営業利益の下に来る「営業外収益」になりますので、「経常利益」が増えることになります。
例えば、ものづくり補助金で2,000万円の機械設備を買って、1,000万円の補助金が入ったとします。補助金をもらった年度の「雑収入」が+1,000万円増えます。
仮に営業利益が▲500万円で赤字だったとしても、経常利益は▲500万円+1,000万円=+500万円です。
そのため、本来ならば赤字なので法人税を支払う必要はないのですが、補助金1,000万円が入ることで、116万円(経常利益500万円×23.2%)を払う羽目になります。補助金額以上の赤字が発生しているならば話は別ですが、それはそれで問題ですけどね。
※あくまでも、銀行さんに払う利息などの営業外費用・営業収益が発生しないという前提での計算になります。
固定資産を取得すれば「固定資産税」がかかります。固定資産税と聞くと土地や建物にかかる税金をイメージするかも知れませんが、ものづくり補助金や事業再構築補助金で機械設備を購入した場合には、購入金額に応じた固定資産税が発生します。
ここでいう機械装置やソフトウェアは、税務上は「償却資産(土地・建物以外の事業の用に供する資産のこと)」という扱いになり、「課税標準額×1.4%」の固定資産税を該当の設備などを設置した県の県税事務所に納税しなければなりません。
例えば、ものづくり補助金で2,000万円の機械設備を購入した場合には、2,000万円×1.4%=280,000円の償却資産税を初年度に払わなければなりません。これら償却資産は毎年減価償却していくので、毎年この額の税金を納めなければならないわけではありません。
※再三にわたって申し上げますが、詳細な税額の計算方法については、顧問税理士の先生にお尋ねください。
残念な話ですが、補助金をもらったとしても、額面通りの金額がまるっと御社に入るわけではありません。前述の通り、税金として出ていく分もあるのです。
ちょっとガッカリしたかも知れませんが、それが現実です。
ただし、何の救済措置もないわけではありません。もし少しでも(法人税・固定資産税の)節税をしたい場合には、税制優遇措置が用意されています。それを今からご紹介いたします。
※中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」より
もし法人税を軽減したい場合には、「中小企業経営強化税制」または「中小企業投資促進税制」という税制措置を活用いただくことを推奨いたします。「中小企業経営強化税制」は、購入した機械設備をその年度で「即時償却」するか、「法人税ー取得価額の10%」の税額控除のいずれか一方のやり方で節税を行うことができます。
購入した購入設備は、複数年度で減価償却するのが一般的です。「即時償却」ということは、仮に機械設備の購入価額が2,000万円の場合、2,000万円分の減価償却費が購入した年度に発生することになります。もしその年度のみ利益が急激に増えたならば、「即時償却」で強制的に赤字の状態を作るのも、節税の一つの手段かも知れません。
※もし「即時償却」で強制的に赤字にした場合には、必ず取引している金融機関には報告してくださいね。
ただし、中小企業経営強化税制を利用するには、機械設備を購入前に「経営力向上計画」の認定を受けておく必要があります。
もしすでに購入してしまった場合には、代わりに「中小企業投資促進税制」を利用すると良いでしょう。こちらも法人税の節税につながる制度ですが、「中小企業経営強化税制」ほどの節税効果はありません。
「中小企業投資促進税制」の場合には、「30%の特別償却」と「7%税額控除」のいずれか1つを選択する形となります。節税効果は若干弱いです。
もしこれから事業再構築補助金やものづくり補助金を活用される場合には、申請の段階から「経営力向上計画」の抱き合わせは考えておいた方が良いかも知れません。
固定資産税を軽減する場合には、「先端設備計画」の認定を受けることで、固定資産税を軽減することが可能です。
もし認定を受けられた場合には、取得設備に係る固定資産税の課税標準が、3年間にわたってゼロ〜1/2の間で市町村が定めた割合に軽減されます。先ほど申し上げたように、固定資産税の税額は「課税標準額×1.4%」で計算します。もし1/2の場合には、課税標準額に1/2を乗じた金額に1.4%が固定資産税の税額になります。「ゼロ」となった場合には、3年間はその設備にかかる固定資産税を払わなくてもいいわけですから、かなり大きいですよね。
先端設備計画も、機械設備等の購入前に認定を受けておかなければならないので、こちらも補助金申請前に利用を検討しておきたいところですね。
法人税(=国税)を節税するなら「中小企業経営強化税制(経営力向上計画の認定が必要)」
固定資産税(=県税)を節税するなら「先端設備計画」
法人税は「国税」、固定資産税は「県税」でどちらも全く別物の税金です。
何を申し上げたいかというと、経営力向上計画と先端設備計画を抱き合わせで認定を受ければ、「法人税と固定資産税のどちらも節税になる」ということです。2019年まで経営力向上計画と先端設備計画は、ものづくり補助金の加点要素になっていたので、イヤでも出さざるを得ない書類でした。
今はいずれも加点要素から外れてしまったので、提案してくれるコンサルタントも減ったのではないでしょうか笑。
「補助金をもらっても税金を払わなくちゃいけないみたいだけど」
「経営力向上計画を出せば、法人税を節税できるって聞いたんだけど」
もし節税まで含めて補助金の利用を検討される場合には、支援機関にはぜひこのような質問を一度投げかけてみてください。
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