2024.07.16
財務
なぜ保証協会付き融資なのか?
保証協会付き融資に潜む銀行員の裏の顔
中小企業にとって、金融機関からの融資は重要な資金調達手段の1つです。
融資を受ける唯一の手段は、自社の決算書を良くすること。この一択しかありません。
金融機関は融資の際、企業から預かった決算書を元に信用格付を行います。
格付けの結果、企業の債務者区分を正常先・要注意先・破綻懸念先と区分します。
もし御社が破綻懸念先と区分されれば、融資を受けるのはほぼ不可能です。
しかし、そのような場合でも、融資を提案されることはあるのです。
そんな時こそ要注意。
安易に借りたりせずに、一歩立ち止まって考えていただきたいのです。
その融資が「保証協会付き融資」ならば尚更です。その銀行員から都合の良いカモ扱いされている可能性があります。
保証協会付き融資には闇がある
まず先に結論から申し上げます。
破綻懸念先に対して保証協会付き融資を勧めるならば、金融機関にとってそれはリスクを一切背負わない「他人事融資」です。
貸した先の企業が潰れようがどうしようが、金融機関にとっては痛くも痒くもありません。
順を追って説明していきます。
融資は本来、金融機関がリスクを負って企業に貸付を行うものです。これを「プロパー融資」と言います。
プロパー融資の場合、企業が借入金の返済をできなくなった場合には、金融機関にとっては「貸し倒れ」という形で損失となります。
一方、「保証協会付き融資」は、企業が返済不可の状態になった場合、信用保証協会が企業に代わって返済を肩代わりしてくれます(「代位弁済」という)。
破綻懸念先にお金を貸すことは、金融機関にとっては貸し倒れリスクが極めて高い融資です。ですから、通常プロパー融資では絶対に貸してくれないでしょう。
しかし、保証協会付き融資ならば話は別です。
万が一、貸し倒れに直面しても、信用保証協会が代位弁済によって返済を肩代わりしてくれるので、金融機関にとっては痛くも痒くもありません。
金融機関の営業担当者は、貸し付けたことで自分の営業成績になりますから、むしろ貸せる方が好都合なわけです。
営業担当は、概ね3年以内に別の支店に転勤するので、別の支店に異動してしまえば貸した先のことなど関係ありません。
まとめ
・破綻懸念先なのに融資を勧められたら要注意
・もしその融資が保証協会付き融資ならば、裏があると思った方がいい。
・貸すことで営業成績になるからむしろ勧めたい、と思っているかもしれない。
・企業が仮に潰れても、金融機関にとって痛くも痒くもなく他人事である。
無論、全ての銀行員がそんな悪どい訳ではありません。
また、融資を断った方がいいと申し上げている訳でもございません。
そのような「側面」もあることを、念頭に置いていただきたいのです。
まずは正しい情報を得ること。
借りるか借りないかは、その上で自分の頭で考えて判断する。
ぜひ今後の資金調達の中で参考としていただけると幸いです。