2024.04.18
財務
なぜ黒字倒産するのか?【中編】
振り返り:利益=残るお金ではない
決算書の構成要素は、「BS(貸借対照表)」と「PL(損益計算書)」の2つです。
皆さんが会計事務所とやり取りする時、損益計算書の話がメインになると思います。
要は、売上から原価・経費を差し引いて利益を計算する。残った利益から納税金額を算定します。
でも残念なことに、税金を引いて残った利益が、残るお金とイコールとは限らないんです。
黒字倒産の3大要因
黒字なのにお金が残らない要因は、主に以下の3つです。
・借入金の返済
・売掛金
・在庫
前編では「借入金の返済」についてお伝えしました。
借入金の返済原資は、紛れもなく「利益」です。しかし、「いくら返済したか?」の情報は、損益計算書のどこを見ても分からないため、貸借対照表を読み解かなければなりません。
利益と返済金額の差額の「現金損益」がプラスかマイナスか?
それがお金の残る経営かどうかの1つの目安ですね。
売上発生と現金回収のタイミングのズレ
売掛金とは、売上の対価として将来的にお金を受け取る権利のこと。
要するに「ツケ」です。
皆さんの取引相手が法人の場合、その多くがツケ払いになるのではないでしょうか。
とある生鮮食品の卸問屋B社の事例を挙げてみましょう。
B社は野菜1,000万円を現金で仕入れました。それを地元のスーパーに1,500万円で卸しました。
しかし、地元スーパーとの取引は「ツケ」であり、代金回収は2ヶ月後です。
この場合、B社のBS・PLの動きは以下のようになります。
B社が野菜1,500万円を売った直後、2ヶ月後に現金を受け取る「権利」はあるものの、手元には一銭のお金もない状態です。
でも、売上は1,500万円です。そこから原価1,000万円を差し引けば、500万円の利益が出ています。
手元にお金が無いのに利益は出ているんです。
利益は出ているんだから、税金は払わなければいけません。
お金が無いにも関わらず・・・・。
「売掛金」もBS(貸借対照表)の中の勘定です。ですから、お金の動きを把握するならば、PL(損益計算書)を追うだけではダメなんです。
お金をどうやって集めて(調達)、どうやって使って(運用)、いくら残すか?
この活動が「財務」です。
ですから、経営者の皆さまは意識している・していないに関わらず、日々財務と向き合っているんです。
数字の意味と原則を理解することで、財務を意図的にコントロールできれば、会社の資金繰りも大分楽になると思いませんか?
そのための価値提供を今後も続けていきたいと思います。