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2026.04.06

補助金

新事業進出補助金は何が採択される?第2回結果から見る採択される事業の特徴と対策

「新事業進出補助金って、結局どんな事業が採択されるの?」

そう感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、採択された事業には明確な共通点があります。

令和8年6月19締切の第4回が始まりました。おそらく今回が「最後の公募」となる可能性が高く、チャンスは限られています。

採択率もそこまで高くないので、確実に採択を狙えるよう、事業計画を緻密に練る必要があるでしょう。

この記事は、令和8年3月31日に公表された第2回公募の採択結果から、第4回公募に向けての傾向と対策についてお伝えします。

新事業進出補助金とは何か?

公式サイトには、この補助金の定義をこう記しています。

新事業進出補助金とは・・・
企業の成長・拡大に抜けた新規事業への挑戦を行う中小企業等を対象に、既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援する補助金です。

従業員数によりますが、上限金額も7,000万円と大きく、機械設備以外に建物も補助対象になるので、注目している事業者様も多いかと思います。

制度を見る限りでは、コロナ禍で立ち上がった事業再構築補助金に近い制度ですが、同じと思って甘く見ていたら、痛い目を見ることになります。

新事業進出補助金と事業再構築補助金の違い

「高付加価値事業への進出」とあるように、新規事業なら何でもOKというわけではありません。従来よりも高単価で売れる商品・サービスを開発し、既存事業よりも高い付加価値(会計的には限界利益が近い概念)を生み出してほしい、というのが国の意図としてあるようです。

コロナ禍で立ち上がった事業再構築補助金では、「新事業なら何でもOK」という点で、採択基準も比較的緩かった一方、新事業進出補助金では新規事業が付加価値を生み出せるかどうかを厳しく見られます。

採択事業はどの業種が多いのか?(第2回結果より)

第二回の公募では、申請事業者2,350者のうち、採択事業者は832者でした。

実際に業種別に見てみると、その傾向はより明確になります。

最も採択件数の多いのが製造業で219者(26.3%)
次いで多いのが建設業で156社(18.8%)

採択数832者のうち、製造業と建設業で全体の約45%を占めており、この2業種に採択が集中していることが分かります。

これは単純に、製造業と建設業の絶対数が多いから、という見方もできるのですが、もっと別の構造的な要素もあると思うのです。

中小企業の中で、製造業と建設業は、大きなサプライチェーンの中に組み込まれることが多い業種です。

典型的なのが自動車業界。ガソリン車1台を作るのに約3万点の部品が必要と言われています。トヨタ自動車のサプライチェーンにおいては、1次請けから2次請け、3次請けと続くピラミッド構造になっており、約6万社の下請部品メーカーが関わっている。

下請法(現・取引適正化法)のような法制度があるとはいえ、価格競争力が弱い構造下に置かれていることに変わりはなく、EV化のようなゲームチェンジによって一瞬で足元が崩れやすい。

そのような構造化に置かれる典型が製造業と建設業ではないかと思います。

だからこそ、真っ先に高付加価値事業への進出を支援する。

政府としては、そのような意図があるのではないかと想像しています。

※新事業進出補助金の採択結果は、こちらからご確認いただけます。

キーワードから見る採択事業者の共通点

第二回公募の採択事業者の事業計画名で、最も多く使われていたキーワードのランキングを取ってみました。

1位:「体験」76件
・体験型〇〇事業
・体験型〇〇施設
・体験型サービス
・体験型カフェ
・文化体験

普通にモノを作っても売れない。売っても利益が出ない。

こうした背景があるのでしょうか。モノ(製品)づくり→コト(サービス)づくり、へのシフトを志向する事業者様が多い傾向にありました。

2位:「高付加価値」67件
・高付加価値事業
・高付加価値型観光
・高付加価値宿泊事業
・高付加価値材料・部品
・高付加価値流通モデル
まさに、この補助金の趣旨そのものがキーワードで並んでいました。

3位:「AI」53件
・AI解析
・AI搭載〇〇システムの構築
・AI活用型〇〇システム
・AIデータ解析
・AIロボティクス

AIを取り入れた新事業が圧倒的に多かったですね。

省力化投資補助金やAI・デジタル導入補助金(旧・IT導入補助金)にもつながるのですが、生産性向上・省力化という視点から、中小企業向けのあらゆる補助事業でAIというのが共通キーワードになりそうですね。

4位:「DX」26件
・DXプラットフォーム
・DX推進支援事業
・業務名+DX

DXを絡めた事業が多い背景は、AIと共通するものがありそうですね。

5位:「地域資源」12件
・地域資源を活かした〇〇
・地域資源活用型〇〇
・地域名+地域資源

採択のキモになるのは高付加価値化×生産性向上

採択された事業計画名を見る限りですと、ある傾向が浮かんできます。

それが、「高付加価値化×生産性向上」です。

まず、高付加価値とは何か?

ものづくり補助金や省力化投資補助金、新事業進出補助金では、「付加価値=営業利益+減価償却費+人件費」と定義されています。

しかし、この公式を見ただけでは、その意味がいまいち理解しにくいですね。

「付加価値≒粗利益(売上高―仕入・外注費)」と置き換えれば、イメージが湧きやすいのではないかと思います。

では、なぜ「付加価値=営業利益+減価償却費+人件費」という意味不明な公式になっているのか。詳細は分かりませんが、恐らく粗利益の中に含まれる余分な経費(接待交際費や家賃など)を削ぎ落とした、「正味付加価値」であると定義しているのではないかと思います。

新事業進出補助金の公式サイトでは、「高付加価値」を以下の通り定義しています。
・新製品等のジャンル・分野における一般的な付加価値や相場価格と比較して、自社が製造等する新製品等が、高水準の高付加価値化を図るものであるかを審査します。
・高付加価値化の源泉となる価値・強みの分析が妥当なものであるかどうかを審査します。

ですから、自社の新事業が高付加価値と見做されるには、以下3つを満たす必要があると考えています。
・既存製品よりも新製品の付加価値が高い
・新製品の付加価値が、競合製品よりも高い
・自社に既にある強みを使って新製品を製造する

「高付加価値」とは何かを、シンプルに図で表すとこうなります。

つまり、「既存よりも高く、競合よりも高い」状態を作ることが重要です。

次にキモとなるのが「生産性向上」です。

いくら高付加価値化を図れたとしても、その新事業が人手の沢山かかる労働集約型の事業で良いのか。AIやDXといったキーワードが浮上してくると言うことは、「生産性向上を実現しなさい」と言うメッセージではないかと解釈しています。

・付加価値を上げる
・人手はなるべく増やさない
・今いる社員の賃金を上げる

こうしたストーリーが新事業進出補助金の王道になっているものと思われます。

採択される事業のチェックリスト

先にお伝えしたことを、チェックリストとしてまとめてみました。

  • 高付加価値になっているか?
  • 既存事業よりも収益性が高いか?
  • 競合と差別化できているか?
  • 自社の強みが活かされているか?
  • 生産性向上(AI、DXなど)が組み込まれているか?

要注意!採択はゴールではなく通過点でしかない

勘違いしてはいけないのは、採択狙いの事業計画を作ってはいけないと言うこと。

補助金がある

じゃあ、何か新しいことをやろう

事業再構築補助金では、このロジックで補助金に手を出して失敗した(ひいては倒産した事業者様も・・・)ケースが後をたちませんでした。

まずは、補助金を使う・使わないに関係なく、地に足のついたプランを組むこと。

新規事業の趣旨がこの補助金に合っているならば、申請にチャレンジしてみる価値はあるでしょう。

「自社がやろうとしていることが、新事業進出補助金に当てはまるのか?」

そのような疑問が浮かんだならば、ぜひお近くの支援機関(金融機関・商工会議所など)に相談をしてみることをおすすめいたします。