2026.01.08
補助金
最大8,000万円|省力化投資補助金(第5回)過酷な給与支給総額要件にどう向き合うか?
おはようございます。
まちの経営企画の伊藤智史です。
最近、多くの経営者からこんな声をよく伺います。
- 人を採用してもなかなか定着しない
- 人手不足の中で、生産性をどう上げるか悩んでいる
- 設備投資をしたいが、最近の補助金の流れがよく分からない
人手不足の解消の為に、設備投資は必要不可欠と思います。
今回は、現在公募が始まっている 「中小企業省力化投資補助金(第5回)」 について、 特に注意していただきたいポイントを共有します。
※以下、「省力化補助金」と略します。
省力化補助金とは何か?

省力化補助金は、人手不足に対応するため、IoT・ロボット・自動化設備などを導入し、生産性を高め、その成果を賃上げにつなげることを目的とした補助金です。
単なる設備更新ではなく、 「省力化 → 生産性向上 → 賃上げ」 この流れが事業計画として一貫しているかが問われます。
冒頭のイラストのように、パートの方が必死で目視検査していたものを、カメラの自動検査に置き換えれば、生産性向上になりますね。
余談ですが、このイラストはChatGPTが作ったものです。従来ならば、デザイナーが何時間もかけて作ったイラストが、いまはAIでものの数分で作れてしまう。これも一種の「省力化」ですね。
第五回公募の肝:賃上げ要件はどう変わったのか?
今回、特に重要なのが、 「1人当たり給与支給総額の年平均成長率 3.5%以上」 という要件です。
ポイントは「毎年・複利」で増やし続ける計画になっている点です。
例えば、
一人当たり給与支給総額が現状で500万円 の場合、3年間で以下のように増やす計画になります。
1年目:500万円×1.035=517.5万円
2年目:517.5万円 × 1.035=535.62万円
3年目:535.62万円× 1.035=554.37万円
このように、 毎年積み上げる前提 で計画を立てる必要があります。
ぱっと見で、そんなに甘くないことが分かりますね。
採択率はどれくらいか?
過去3回の採択状況は以下の通りです。
・第1回:申請件数1,809件/採択件数1,240件(68.6%)
・第2回:申請件数1,160件/採択件数707件(61.0%)
・第3回:申請件数2,775件/採択件数1,854件(66.8%)
過去の公募結果を見る限り、 直近3回の採択率は概ね6割程度で推移しています。採択のハードルはそこまで高くはありません。
先ほど申し上げた通り、これまでと違って補助金採択後の振る舞い方が問われることになります。
- 制度の趣旨を正しく理解し
- 現実的な事業計画を立て
- 数値の整合性を丁寧に詰める
こうした基本を押さえれば、 最初から「届かない補助金」ではありません。
では次に、「実際に使うとしたら、どれくらいの規模感なのか?」整理してみましょう。
補助金はいくらもらえるのか?
・5人以下:750万円
・6〜20人:1,500万円
・21〜50人:3,000万円
・51〜100人:5,000万円
・101人以上:8,000万円
詳細な区分は公募回ごとに確認が必要ですが、 基本的な考え方としては、
- 従業員数に応じて補助上限額が変わる
- 補助率は原則 1/2
ということです。
そのため、 「設備投資額の半分が必ず戻ってくる」 という理解ではなく、自社の規模・投資内容に対して、どこまで現実的か を冷静に見極めることが重要です。
給与支給総額要件が厳しい理由(実務家の視点)
公募要領に明記されているわけではありませんが、 これまでの運用を見ていると、次のような背景があると考えられます。
- 役員報酬だけを上げて形式的に要件を満たすケースへの対策
- 人を増やすことで総額を伸ばし、「省力化」と矛盾する計画への歯止め
- 採択後に人が辞め、結果的に要件未達となるケースの多発
- 補助金獲得そのものが目的の安易な申請の排除
つまり、 「絵に描いた事業計画」が通用しなくなってきている ということです。
採択されれば終わり、ではありません
最近の補助金は、事業計画が採択されることよりも、補助金交付後、計画通りに経営が回っているか、の方がはるかに重要になっています。
要件未達の場合、 補助金を一部または全額返還 を求められるケースもあります。
「補助金があるなら使いたい」
その一方で、
「後から返還になるのは避けたい」
そう感じられるのは、極めて健全だと思います。
もし今回の省力化投資補助金について、自社の場合、現実的に成り立つのか?賃上げ計画をどう考えればいいのか?
整理したい場合は、 身近な信頼できる専門家に、一度壁打ちしてみることをおすすめします。
これまでのように、作文が上手いだけの代行業者に任せたら大火傷します。
急ぐ必要はありません。 制度を正しく理解した上で、 自社にとって意味のある投資かどうかを考えることが何より大切です。
それでは、今日もご機嫌に中今を
弥栄(いやさか)
