2024.05.21
財務
なぜ会社は潰れるか?【Part1:ヒト編】
いくら売上・利益が出ても、「カネ」が無ければ会社は潰れる。
これは弊社がセミナーでよくお伝えしていることです。
でも、会社は「カネ」以外の要因で潰れることもあるんです。その最たる例が「人手不足」要因の倒産ではないでしょうか。
台湾半導体のパート時給3,000円の脅威
2024年2月24日、熊本県菊陽町に台湾の半導体メーカー「TSMC」の工場が開所しました。
同町は「半導体バブル」と言われるほどの湧き上がり。土地の時価が上がっており、「土地売れば3億円」なんて噂もあるようです。
中でも、私たち中小企業が注目すべきは「雇用」ではないかと思います。
TSMCで働く従業員数は、2025年で1,700人に達すると言われています。雇用が増えるということは、地元の需要も増えるということ。
TSMCの近隣が拠点の中小企業にとっては、需要を取り込むチャンスです。
でも、そこでネックになるのが「ヒト」の問題です。
熊本では半導体ブームで湧き上がる一方で、人手不足倒産に陥る中小企業が続発しているという話もあります。
熊本県の最低賃金は現在、時給898円です。それに対し、TSMCではパートタイマーの時給が3,000円です。
皆さんが雇われる側ならば、時給898円の会社と時給3,000円の会社、どっちで働きたいですか?
もう言うまでもと思いますが、熊本ではTSMCに雇用を持ってかれて人が足りず潰れる会社があるというのです。
世の中カネだけじゃない。やり甲斐だって大事だ。
そんな意見もあると思いますが、人間が一定の生活水準を維持するにはお金が絶対に必要です。いくらやり甲斐のある仕事でも、タダ働きも低賃金も誰だってイヤなはずです。
もし皆さんの周りに大手企業が参入した場合、雇用をどうやって維持しますか?
いま熊本で起こっている半導体バブルは、決して他人事ではないような気がします。
どう人手不足倒産を防げばいい?
これに対して明確な回答はありません。あくまで私の考えですが、今の状況下では「人は雇えない」という前提に立つしかないんじゃないかと思います。
要は、今いる社員だけで付加価値を上げるってことです。
政府も現在、「省力化」と名のついた色んな補助金を打ち出してますが、そういったものを活用するのも一つの手段かと思います。
周りを見渡しても、どの会社も人材を探しています。誰もが人を雇えなくて困っています。日本はそもそも人口が減っているんだから当然です。
なので、「人は雇わない」「今いる社員だけで売上・利益を上げて賃金も上げる」と発想を変えてみることも一つの手段ではないでしょうか。
人手をかけずに付加価値を増やす
これを測る重要指標が「労働分配率」になりますが、その話はまた後日していきたいと思います。