2024.06.05
財務
なぜ会社は潰れるか?【Part2:後継者問題編】
会社が潰れる要因として、前回は「ヒト」についてお話しいたしました。半導体バブルの話を例に挙げましたが、いくら需要があって売上が増える可能性があっても、価値提供の担い手である「ヒト」がいなければ人手不足で会社は潰れます。
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会社が潰れる要因その2:後継者不在
人に絡む問題として今回お伝えするのが、「後継者不在」による廃業の問題です。
日本の中小企業経営者は高齢化の一途を辿っています。2025年までに70歳を超える中小企業・小企業事業者の人口は約245万人に達すると言われており、うち約半数の約127万人が後継者未定の状態です。
これがどれくらいのインパクトかというと、2025年までの累計で約650万人の雇用喪失、約22兆円のGDP喪失の恐れがあるのです。
経営者である以上、いずれは引退の時が来ます。その際に、誰に・どうやってバトンパスをするか、皆さまはもう決められてますでしょうか?
事業承継の本質は節税ではない
事業承継の話になると、多くの経営者が「どうやって節税するか?」に意識がいきがちです。
なので、(詳細は省きますが)暦年贈与による株の分散、無茶な株価引き下げによる財務の悪化のような問題が起こってしまいます。
いくら税金が安くなっても、会社が潰れては元も子もありません。
事業承継は、以下の4つの視点でバランスよくやらなければなりません。
その1:財務
事業承継対策の本質は「会社の存続」です。相続の前後において会社の財務体質が健全でなくてはなりません。株価引き下げに目を奪われて、財務が悪化するのは本末転倒です。
その2:後継者の存在と能力
存在とは、「後継者がいるかどうか」です。その上で、その後継者が経営者として相応しいかどうか判断しなくてはなりません。
いくら社長の息子とはいえ、その会社に入っていきなり社長をやれと言われてもできないですよね。なので、後継者の育成も時間をかけてじっくりやる必要があります。
当社のクライアントも、社長が60代前半から息子さんを役員に登用して早い内から後継者育成をしています。
その3:自社株は「集約」と「株価」に着目
株式の「分散」は、後継者が議決権を確保できない、少数株主による反乱などの余計なリスクを招きます。従って、株式は「集約」させるのが鉄則です。
株価対策とは純資産を減らすこと。要は赤字を垂れ流すことです。赤字にするということは、現預金を減らすことです。お金を残すために節税しているはずなのに、節税の結果として現預金が減るのはおかしいと思いませんか?
株価対策は適度な対策が必要です。
その4:相続対策
相続対策は、基本的には手元に納税資金があるならば、それで完結です。
以上、事業承継の4つの観点を述べてまいりました。
後継者不在で会社を潰すことになれば、従業員も路頭に迷うことになりますし、日本の経済に与える悪影響も非常に大きいです。
手遅れにならないうちに、早めの対処をしておきたいですね。